今年のボージョレは、全体的には平年並みの出来といったところでしょうか。もうちょっと葡萄の旨みを感じても良いかなと思う年でした。
ヌーヴォーとして飲んだ時の旨みと酸味のバランスのとり方が難しい年だったように感じます。そこで考え方の違いもあるのでしょうが、その点がうまくいった所とそうでなかった所で分かれたように感じます。
皆様飲まれたヌーヴォーの中には例年以上に酸っぱく感じた造り手もあるのではないでしょうか。私自身全種類飲んだわけではないので憶測でしかありませんが。
近年は、天気予報や醸造技術、醸造理論も大きく進んでいるので昔みたいなヴィンテージによる大きな差は少なくなってきていると思います。これはどの地域のワインでもそうだと思います。
でもそこには人間ではどうしても乗り越えられない自然風土があると思います。だから卓上(理論上)通りには行かないのでしょう。それにどう向き合ってゆくかが、どのようなワインを造りだすかになってくるのだと思います。
もし卓上だけの理論だけで造るとすれば、偉大なワインは生れてこなくなるのではないでしょうか。人間の優れた五感を駆使してこそ私たちを感動させるお酒が生れてくるのだと思います。もちろん失敗も多くなるかもしれません。これは日本酒も同じです。
と言うのは勝手で簡単ですけど、こんな事書くと造り手は、お前が造ってみろと言いたくなるでしょね。私自身そんなに簡単ではないと思っていますが、こんな事を書くのには、最近のワインや日本酒を飲んでこんなふうに感じることが時々あるからなんです。
数値も大事かもしれませんが、それよりももっと磨いて大事にしなくてはならないのが、味覚であったり、経験であったり、感であったりのような気がしています。