蒸留酒(焼酎・ウイスキー・ブランデー・ラム・ウォッカ等)ではあまり考えられない醸造酒(日本酒・ワイン・ビール等)の特性みたいなことを書きたいと思います。
醸造酒は、ビンに詰められてからも熟成を伴った変化をします。それに加えて気温、湿度などの外的要因も大きく影響します。蒸留酒も変化はするのでしょうが時間のスパンが長すぎるので気づきにくいと思いますし、外的要因にも強いです。
例えば、Iさんがある日本酒(ここではQとします)を買うとします。A酒屋さんで買ったQとB酒屋で買ったQは、味が違います。仮にA酒屋とB酒屋が同じ日に同じ所から仕入れたとしてもです。まあ仕入れてすぐに同じ時間に買ったお酒であればそんなに違わないかもしれませんがね。
なぜこんな事になるのでしょうか。前に書いたように保管温度や保管場所などのさまざまな要因によって違いが出てくるのです。だからラベルは同じでも味が違っている可能性があります。これは、ワインも同じです。
さらに、IさんがB酒屋で今日買ったQと同じB酒屋であす買ったQでも味が違います。これも非常に判りづらい違いだと思いますが、確実に違うはずです。これは、お酒自体の熟成によるものです。この熟成のスピードも外的要因によって違ってきます。
当店で扱う樽酒は、私自身が樽にお酒を入れてしばらく置き私自身が瓶詰めするものです。したがってその年のお酒の出来具合や樽の材質の年による違い、そして樽を置く場所の気温などなどによって樽に入れておく時間を味をみながら決めていきます。
一昨年は10時間、昨年は8時間というように違ってきます。また、1回転目と2回転目と樽に入れる回数を重ねていく事による違いも考慮に入れながら行います。
極論ですがこの世にはラベルは同じでも同じ日本酒、ワインは存在しないと思います。今日出会ったQと明日出会うQは、違う。人間も同じように変化していますが、毎日あっていると気づきにくいですが、久しぶりに会うと変わっている。のと似ているかもしれません。