酒粕

酒粕にもいろいろな種類?があります。種類というと語弊がありますが同じ酒蔵から出てくる酒粕にもお酒と同じようにいろいろな酒粕があるということです。

例えば、同じ酵母を使い、精米歩合50%の山田錦で仕込んだタンク(お酒)があるとします。一つは純米吟醸酒、もう一つは醸造アルコールを添加した吟醸酒。醸造アルコールの添加時期は搾りの前になりますから、これら2つのタンクを搾った時に出る酒粕は、当然違ったものになります。

それではこれら2つの酒粕の違いはどうでしょうか。酒粕は酒蔵さんにとって副産物(今でこそ貴重になっていますが昔はいわゆる産業廃棄物のような存在でした)なので、厳密に分けられて送られてくる訳ではありませんから正確でないかもしれませんが、

上に書いた事を前提条件(原料等)にお酒の特性から考えると、搾られたお酒とは反対に純米吟醸の酒粕の方が吟醸香があります。なぜなら吟醸香は、酒粕に付きやすいからです。それを液体である日本酒に踏みとどまらせる効果が醸造アルコールにあるからです。

もう一つ精米歩合による酒粕の違いですが、当然精米歩合が高い(より磨いてある)お米で造ったお酒の酒粕の方が色も白くなっていき、香りもよくなっていきますが、酒粕の味は、お酒と同じように淡白になっていきます。

ですからこのブログで以前書いたようにお酒の好みと同じようにとらえて頂くと良いと思います。また、酒粕の硬さを見てもいろいろな情報が得られます。そうです粕歩合のことです。どこまで圧力をかけて搾るかもお酒の種類によっても違うし、酒蔵の考え方によっても大きな違いが出てきます。

単純に書きますが、例えば100Lのもろみがあったとします。粕歩合が30%であれば日本酒は70Lでき、粕歩合が45%であれば日本酒は、55Lできるのです。酒蔵さんにとっては同じ原材料費を使って70L出来た方が価格を抑えることが出来ますよね。

この違いを知っておくとお酒の値段の違いもよりよくわかるようになると思います。ちなみに粕歩合45%というと吟醸クラスになります。酒粕を見るといろいろなこともわかるんですよ。こんな視点からも眺めてみてください。さらに日本酒選びが楽しくなるかも。

酒粕を味噌汁に少し入れると味噌汁にコクが出て美味しいですよ。体もとっても温まります。寒い日はお勧めです。
posted by sakeito | 識(しる)