皆さんは同じラベルの日本酒は、いつの時期も同じ味わいだと思われていますか。多分ほとんどの方はそうのように思われているのではないかと思います。
そのようなお酒もあるし、そうじゃないお酒もあります。特に単一年度のお酒だけを瓶詰め出荷したお酒は、時期によって味わいが変化していきます。特に火入をまったくしない本生のお酒はこの傾向が強いのです。
なぜこのようなことを今の時期に書くかといいますと、これから時期特に夏を越すあたりからお酒は大きく変貌します。変貌というより言葉が不適切かも知れませんが脱皮といったほうが良いかもしれません。
脱皮は種類によっては大きく形を変えるもの、形はそのままだが大きくなるものなどありますが、日本酒もまったくぴったりでその種類によっていろいろな変貌を遂げます。
中には変貌してより大きくなるお酒もありますし、ものによっては味が落ちてきてしまうものもあります。その一つの試金石になるのがこれからの時期(7月、8月、9月)なんです。
9月、10月頃になると「ひやおろし」と書かれたお酒をよく目にすることと思いますが、これなどはこの変化したお酒を捉えた典型的な例です。
もちろんこの時期を過ぎてもまだまだ若すぎるお酒もあります。造りがしっかりとしていればいるほどこの時期になっても若々しさを保っている部分があります。よく仕込みの水の成分に関係するとも言われていますが、そればかりではありません。
硬水、軟水とも変化をするのは同じであり、同じお酒を追っかければそのことに気づくはずです。こんなことを気にしながら飲まれると楽しみ方の奥行きも広がってくるのではないでしょうか。
お酒の脱皮(2008/06/29)
posted by sakeito
| 嗜(たしなむ)