先日のいわき酒楽会主催の利き酒会で行った日本酒講座は、「日本酒の保管による味わいの違いを体感しよう」という題目で行いました。そこで改めて日本酒の保管による味の違いの怖さを何回かに分けて書いていこうと思います。
皆さんは、日本酒はどこで買っても同じだと思われていますか?例えば同じ銘柄の同じ種類の製造年月日が同じお酒があったとします。具体的に書いたほうがわかりやすいと思いますのでこのお酒の銘柄を甲、メーカーを乙とします。
「乙酒造 甲の純米酒 製造年月2009.04」 というお酒があったとします。このお酒をA酒店、B酒店、C量販店、Dスーパーでそれぞれのお店で6月18日に買ってきたとします。そして4本とも同時に開栓して味をみたとします。どうでしょう?すべてのお酒の味わいは同じだと思いますか?
ここまで書くと違うという答えを期待してしまうと思いますが、まあ期待通り違うんです。厳密に言えばたぶんすべて違うと思います。でも同じ味わいに感じるかもしれませんし、全く違う酒に感じるかもしれません。
何を言っているの?と思われるかもしれませんが、そうなんですここで登場するキーワードが表題にもある「保管」なんです。
前にも書いたことがあるのでおさらいの意味も含めて書いておきますが、日本酒のラベルに書いてある「製造年月日」は一般的な食品の製造年月日とはちょっと違いがあります。
一般的に製造年月日は物が作られたその日ですが、日本酒の製造年月日はお酒が瓶詰めされた日かお酒が出荷された日を記載することになっています。
これは特別でも何でもなく、日本酒の商品特性から来ています。ほとんどの日本酒は、寒造りといって寒い時期に実際の製造がなされます。具体的な期間を書くと大体11月から4月までの6ヶ月位になります。
したがって一般的な食品と同じ表記をするとほとんどの日本酒の製造年月は11月から4月位までに集中することになります。もちろん一部の四季醸造(1年中酒造りをする)の蔵はこの限りではありませんが。
このことを踏まえたうえで買ってきたお酒を分析すると、製造所は甲酒造、銘柄は乙、種別は純米酒(醸造アルコールが入っていない)、製造年月日は4月ということでこれを6月18日に買って開栓したということは、酒蔵から出荷されて市場に約2ヶ月間あったという事になります。
このことを理解していただいた上で次回に続きます。
日本酒の保管の怖さ@(2009/06/18)
posted by sakeito
| 識(しる)