日本酒の保管の怖さB(2009/06/21)

それでは前回書いた4種類のお酒はどのような感じだったのかを書いて見ます。

1のお酒
まだ少し硬い印象があります。香りもやや閉じ気味で味わいも少し膨らみにかけます。ただ組成の良さを物語る酸は、活き活き感が十分ありますからこの温度で10月頃まで持っていけば優れた味わいになると感じました。

2のお酒
現時点で非常に良い状態になっています。100%に近い状態です。香りも味わいも膨らみに富み、後口もキレを十分にありますから美味しく感じられます。冷たい温度から温かい温度まで十分にこなしてくれると感じます。この温度帯では夏前(7月)がピークだと思います。

3のお酒
1週間でここまで変わるのかという香りと味わい。もちろん吟醸香はなくなり、熟成香とは明らかに違う老ね香が支配してきています。味わいは丸くなりすぎていてキレがボケてきています。後口にべたっとした感触が残ります。ただこのお酒が好きだという方はいらっしゃると思います。

4のお酒
ここまでひどくなるとは・・・・。日向臭がバンバン出ていて、味わいも口に入れると吐き出したくなるくらいです。このお酒が手にかかるとなかなか落ちません。特にコメントのしようがない位ひどい香りと味です。

とこんな感じでした。それぞれのコメントの中でも出てきたようにまだまだ保管できる状態のお酒だということも判っていただけると思います。

では、この状態が別なスペックのお酒だったらどのように違うのでしょうか。例えば使用米は同じ五百万石だが精米歩合が70%でアルコール添加型の本醸造、火入れも通常のお酒のように2回火入、炭素濾過もしている というお酒だったら結果はどうだったでしょうか。

たぶん3のような状態に置いたお酒も4のような状態に置いたお酒もここまではひどく感じられなかったと思います。もちろん比較する土台のお酒との差においてです。ただ差はどうであれ確実に品質が劣化するのはわかると思います。

ではどのような保管がベストなのでしょうか。3・4のお酒は論外として1と2のお酒に多くのヒントが隠されています。次回はその辺も含めて書きたいと思います。
posted by sakeito | 識(しる)