先日あるお客様がある日本酒をお求めにご来店下さいました。多分始めての来店かと思いますが、あるお客様のご紹介でした。
このお客様が、お求めになられた日本酒は、現時点では若すぎて飲んでしまうのがもったいないと私が感じたお酒で、後2ヶ月位後の10月頃になると花開いて良い感じになるお酒だと思ったお酒でした。
そして、そのことをそのお客様にご説明しました。初めのうちは戸惑った様子を見せていましたが、何とか理解していただいて、冷蔵庫で待ってみようということになりました。
多分このような話はもしかしたら初めて聞くことかもしれません。メーカーが出荷した時が一番美味しいというイメージを持っていると私の話は何言っているの?となってしまうでしょう。
でもそうじゃないんです。もちろん嗜好品である以上若い時点のお酒がお好きな方もいらっしゃるし、古酒になってからのお酒がお好きな方もいらっしゃるでしょう。しかし、そのお酒の持っているポテンシャル(品質)のピークの時期は、好き嫌いにかかわらずあると思います。
もし初めて口にされる銘柄や種類であればそのピークの時点で飲んでいただきたいと思ってしまうのです。これは限定で出荷されるお酒ばかりではなく、普段から出荷されているお酒にも当てはまります。
これは日本酒ばかりでなく醸造酒であるワインにも共通してあります。という事はもちろん醸造酒の仲間であるビールにもあるって事です。
ではなぜビールは出来たてが上手いといわれているのでしょうか。それは今流通しているビールのほとんどがメーカー出荷時に100%の状態で出荷しているからだと思います。
今当店で販売している「新潟麦酒」を飲んでいただければ分かりやすいと思います。このビールは、少し寝かせたいなあと思うビールなんです。今までこのようなビールが流通していなかったので分からなかったのですが、私にとってはそのように思わせる初めてのビールでした。
市場に出たときがピークで後は劣化していくだけ。では発酵食品としては面白みがないですよね。トップシャトーのワインなら出荷するのに20年後というようになってしまいます。
欧米では、このゆったりと時を待つ事があります。この辺が日本との違いなのでしょうか。その事を端的にあらわしているのが、これからよく耳にするであろう「ボージョレ・ヌーヴォー」なのではないでしょうか。