火入れ・瓶火入れ・火落ち菌

当店では本生のお酒の比率が高い為にわかりやすいようにラベルに「火入」と書いています。通常瓶に張ってあるラベルには火入れという文字は普通入りません。

ラベルに「火入れ」の文字を見るのは「瓶火入れ」と書かれていることが多いのではないかと思います。それでは火入れの目的ですが、一つには、お酒にとって有害な微生物を殺す事にあります。特に日落菌という乳酸菌の一種の菌をなくすことが結構重要になります。

目的の二つ目は、酵素類を破壊して保存性を高める事にあります。火入れの温度は65℃前後で加熱します。この温度まで加熱すると火落ち菌などの菌もほとんどが死滅します。牛乳などの低温殺菌も65℃で30分ですよね。

ただし、細菌類はもともと17%前後のアルコールがあれば増殖しないのですが、それはいろいろな世界にもいるように細菌の中にもいるんですよね。それは前にも書いた「火落菌」なんです。この菌は、25%位のアルコール度数でも生育する事が出来てしまうんだそうです。

もともと火落ち菌は、いろいろな場所にいますから搾られたお酒の中にも入っている可能性が大です。したがって、火入をしないお酒は、この火落ち菌に冒される可能性が大きくなります。ただこの菌も温度には弱く低温では活動が鈍くなるんです。生酒が要冷蔵とうたわれるのもこの活動を押さえることにあります。

また、火入をしないお酒は、各種酵素が生きた状態にあるため成分変化がおきやすい状態にあります。低温貯蔵はこの変化を鈍らせる目的もあります。

と書いたように火入をしないお酒は、管理が難しく常温で流通をさせるにはリスクが大きくなってしまいます。火入れはこのリスクを大幅になくすことが出来ます。もちろん、だからといって生が全て良いということではありません。
posted by sakeito | 識(しる)