B.Y表記(酒造年度) その1

B.Yは、Brewer Yearの略で日本語に直すと醸造年度になります。「醸造年度」は、毎年7月1日から6月30日までになります。

なぜこの表記をするようになったかなのですが、実際に日本酒のラベルに印字されている製造年月日と実際の中のお酒の本来の製造年月日にズレがありえるからなんです。これでは、日本酒の熟成や飲み頃に関して説明したり、判断したりするのに難しさがあるためです。

例えば、ラベルに印字されている製造年月日が「2007.03.24」だったとしましょう。この表示からでは、中のお酒が実施にいつ醸造されたかを知る事は不可能です。なぜなら酒類の特性上製造年月日は、瓶詰日か出荷日を印字すれば良いからなんです。

こう書いたからといってこの表記法が駄目といっている訳ではありません。むしろお酒の性質上当然とも思います。しかもこの表記がないと、市場に出回ってからどのくらい時間が経過したかが判らなくなるのでその点では、とっても助かります。

しかしこの表記だけだと中のお酒が仮に5年前に醸造されたお酒であってもそれを飲まずにラベルから判断することは、他に何もかかれていなければすごく難しくなってしまうのです。

日本酒は、新しければ美味しいかというとそうでもありません。では古ければ美味しいかというとそうでもありません。それぞれのお酒にあった飲み頃やそれぞれのお酒対個人とのマッチングで美味しかったり、不味く感じたりするするんです。

その判断の一つとしてB.Y表記をしています。ちなみに現在の一番新しいお酒は、「平成18B.Y」になります。いわゆる今現在新酒といっているお酒はすべて18B.Yという事になります。

市場にある日本酒の中には、醸造年度の違うお酒をブレンドしている品も多くあります。一年間通して販売するお酒は、ほとんどがそうだと思っていただいてもよいのですが、このようなお酒は、B.Y表記ができません。と書くとまたこれらのお酒はよくないのかと思われがちですが、そんな事はありません。

このブレンドもその蔵の技術力や利き酒力だと思います。熟成されたお酒と若々しいお酒がある時期を境に急に入れ替わると同じラベルであるのに味の変化が大きすぎてしまうからなんです。この変化をなるべく少なくするのも技術力の一つだと思います。

もちろん酒蔵の考え方により単一年度のお酒だけで販売する酒蔵も多く存在しますけどね。
posted by sakeito | 識(しる)