会津若松市門田町にあります高橋庄作酒造さん(会津娘)におじゃまいたしました。地図で見ると近いのですぐに着くだろうと思っていたら、結局道に迷ってしまって約束の時間を過ぎてしまいました。それも途中で電話で道を聞きながらになってしまいました。
会津娘さんへは、今回で2回目の訪問です。今年の1月からお取引を始めた酒蔵です。前回は私一人で造りをしていない時でしたので、今回は家内と共にお伺いいたしました。
会津娘さんは、会津若松市内から芦ノ牧温泉へ向かう途中にあります。芦ノ牧温泉へ向かう道路国道118号線と会津鉄道のちょうど中間くらいの位置にあります。蔵の周りは、自家田が広がっています。
蔵の信条は「土産土法」その土地で取れたものをその地にあった方法で造り上げる、いわゆる地酒の原点を真摯に見つめなおした酒蔵です。近年ワインなどでよく使われる用語テロワールに非常に近い考え方です。
遅れて到着した私たちを出迎えてくれたのは、当代5代目にあたる亘氏。まずは、近況報告と共にお酒についてあれこれとお話しました。
亘さんにいろいろお話をお伺いした後に蔵を見せていただきました。ちょうどつるし(酒袋にもろみを入れ袋の口を結んで吊るして搾る方法)の搾りをしているところでした。
1枚1枚きれいに洗われた酒袋にもろみを入れ、もろみを入れた酒袋を棒を渡したタンクの棒へ縛っていきます。ちょうど洗濯物を干すような感じと言ったらわかり易いでしょうか。
吊るした酒袋からちたちたと滴り落ちるお酒を集めます。これがいわゆる雫しぼりといわれるお酒です。会津娘さんのこのお酒は、8月頃に「つるし」といわれるお酒で皆さんの前に姿を現します。
なぜこの頃になってしまうのか?このブログでもいろいろと書いていますお酒の熟成における時期なんです。この搾り方で搾ったお酒は、とってもきれいなお酒になります。これはお酒としてはとってもよい品質なんですが、飲んで美味しいかと問われれば?が付いてしまうかもしれない状態なんです。
でもその時期(お酒お酒によって違うし、年によっても違いますが)が来れば、美味しいと感じるお酒に成長するのです。少しだけあるいはもっと気長に待って成長するのであればゆっくりと待つのも良いではありませんか。
酒母室、麹室、仕込み場と見せていただき、瓶に詰めてから火入れを行うところなどを一通り見せていただきました。昨年あたりからいかにして火入れのダメージを少なくしつつ、火入れによる酒質の安定や良さを具現化していくかを課題に取り組んでいるとの事。
これまでブログにもいろいろと書いてきましたが、火入れをしない本生は、結構気難しい所があります。また、酒質の安定やお燗のことも考えると火入れはとっても重要な1工程になります。ただ63度位まで加熱しますので何も考えずにすると大きくダメージを受けてしまうのです。
63度から40度以下になるまでいかに早く冷すかがポイントで、その間のダメージがとっても多いのだそうです。
その後、蔵の周りにある自家水田を見せていただきました。その土の生命力を生かすために、農薬などはなるべく少なくあるいは全くせずに作ることによって、生命力溢れるお米が育つのだそうです。以前は、除草に鯉を田んぼに放してあったそうですが、鯉ヘルペスの問題から現在は、断念していているそうですが、その代わりに鮒を考えているそうです。
写真は、会津娘のしずく搾りの様子と周りに広がる水田です。
2007年2月 高橋庄作酒造(会津娘)
posted by sakeito
| 酒蔵探訪記 バックナンバー