暖かくなってきてよく言われるのが「冷酒下さい」です。ここに出てくる冷酒という言葉は、結構一般的に使われていると思います。では、「冷酒」とは何なのでしょう。
基本的に冷酒というカテゴリーの日本酒はありません。造りからみても、分類上でもありませんからただ単に「冷たく冷やしたお酒」という事になります。
このようなことをお客様に説明すると、「○○冷酒」ていう名前の商品を売っているではないか。と言われます。確かに売っていますが、それはメーカーが勝手に付けた名前以外の何者でもありません。冷やしたほうが美味しく飲めますよといったメッセージ性があるだけだと思います。
この言い方をワインに当てはめると「冷ワイン」という商品名が付けられているのと同じです。こんな言い方はしないですよね。もちろん日本酒は、お燗もできるので反対の意味合いでこういう付けられ方をされているのだと思いますが。
メーカーサイドが、こういう商品名を付けなければ「冷酒」という言い方も飲食店などでは非常に便利な言い方なんですけどね。
飲食店などでは、300mlの生酒や生貯蔵酒などを冷酒と標記してあるところが多いと思います。だからお客様もこのあたりを指して冷酒といっているのが多いと思いますが、あまりこの言葉を気にしない方が、より優れた日本酒にめぐり合えると思います。
ちなみにこのような事情から当店で発行する用紙や説明には、冷酒という言葉はあまり使っていません。この言葉が使えると楽なんですけどね。