「無濾過」と書かれているお酒

ここ2.3年の間に急速に見かけられるようになった日本酒レッテルの言葉に「無濾過」があります。意味合いからすれば布を通しても濾過といえる為酒袋も通さない事かと思われている方もいらっしゃるようですが、現在流通している「無濾過」と書かれているお酒は、「炭素濾過をしない」と捉えて頂いてよいと思います。「炭素濾過」とは、活性炭をお酒の中に入れフィルターで濾すことです。

では、この無濾過と書かれているお酒は、どうなのでしょうか。私の考える「無濾過」のお酒とは、お酒が出来上がった時に何もいじりたくないと造り手が考えたお酒だけで良いような気がします。だから、当然同じお酒であっても今年は無濾過、来年は濾過ありというようになりますが、それでも構わないのではないかと思う事があります。なぜなら巷に出回っている多くの無濾過のお酒が、ちょっと炭を使えば良い感じになるのではないかと思わせるからです。

皆さんが無濾過の香りと味だと思っている香りと味は、実はお酒が熟しすぎてて出ている香りと味なのではないかと。業界用語で言うところの「ひねている」なのかなと思う事があります。熟成香や熟成味より状態の良くない状態です。それ位無濾過のお酒、特にその中でも生酒は、繊細で非常にデリケートなのです。

日本人は、ピュアが好きで、「何も足さない何も引かない」が非常に好印象に感じられる国民性ですが、それもこれももとが良ければの話になると思います。
posted by sakeito | 識(しる)