生もとや山廃仕込とは

あるお客様からの御質問についてです。
「生もと(きもと)や山廃仕込ってなあに?」というものでした。この質問はご来店の方から多くされて、ご説明するのですが、皆さんこんがらかってしまっているようですので改めて書きたいと思います。

まずはじめに日本酒のラベルなどに書かれている言葉を拾っていくと「山廃仕込」、「生もと造り」、「山廃純米」などなどいろいろな言い方をされています。これじゃ訳がわからなくて当然かもしれません。それでなくても日本酒の醸造技術は高度で解りにくいのに。

最初に抑えておきたい事は、これらの言葉は、日本酒が造られる過程の「酒母」(別名もと)の段階で出てくることだということです。日本酒造りのすべての製造工程や造り方が違うという事ではありません。

「酒母」(もと)とは、単純に言ってしまえば酵母という1匹の微生物を何百万倍にも何億倍にも増やす工程のことです。酵母とは、糖分を食べてアルコールと炭酸ガスに分解する微生物の事でこれがいないとすべてのアルコールは造れないという飲み手にとっては非常にありがたい微生物なんです。


「山廃仕込」・・・酒母を山廃という方法(これを方法というとちょっと違うかも)で造って、その酒母を使用して酒造りをしたお酒。

「生もと造り」・・・酒母を生もとという方法で造って、その酒母を使用して酒造りをしたお酒。

「山廃純米」・・・酒母を山廃という方法で造って、その酒母を使用して酒造りをしたお酒で醸造アルコールを添加していないお酒。

と読み取る事が出来ると思います。


上の文章からもわかるように「酒母」(もと)が日本酒の製造段階のなかの一工程だということは書きました。そしてこの「酒母」の製造方法の中に「生もと」、「山廃もと」、「速醸もと」というのがあるのです。

「生もと」などは菊正宗さんのホームページなどにも詳しく載っていますのでご覧になられると面白いと思います。ただ、メーカーのホームページですからちょっと言葉を置き換えたり、差し引いたりして見ていただくと良いと思います。今全国で行われている「生もと」の大御所は菊正宗さんといっても良いくらいなんですよ。
posted by sakeito | 識(しる)