2003年6月下旬から新しく当店の仲間入りをした酒造です。
銘柄名は「天明」と「あけぼの」。生産数量は600石の小さな酒蔵です。
酒蔵は会津坂下のほぼ中心部にあります。会津坂下といえば、福島県でも雪が多い所で、新潟県との県境にあたります。昨年12月上旬、酒造りに忙しい最中でしたが、初めてお伺いし、孝教さん(娘さんのお婿さん)と奥さんと3時間ぐらい酒談義。その後、造りが始まっている酒蔵を案内していただきました。
ちょうど洗米作業をやっていて、布に入れたお米を2人がかりで洗米。手で洗うより、やわらかく出来るとのこと。蒸しはすべて和釜。麹造り、酒母造りと、もちろんすべて手作業です。もろみも小仕込みで、搾りはすべて手間のかかる槽と呼ばれる搾り機を使っています。
また、保管庫は、すべて冷蔵設備が整っています。12月初旬ということで、本格的な造りはこれからで、活気づいているという感じではありませんでしたが、酒造りの陣頭指揮をとるのは、孝教さんの奥さまの明美さん。あらばしりのような方で、蔵の空気をピシッとしめているようでした。
5月下旬に孝教さんが当店へ、そして改めて6月中旬に、静かな蔵へお伺いしました。
今回はお取引のお願いの訪問でしたので、長時間にわたり、孝教さん、明美さんと一緒に酒談義。前回の印象とは違い、柔らかく面白い方でした。
私はこれでまた一安心。造りの時の真剣さと一途さを垣間見たようでした。(造りの時の厳しい表情は、それだけ真剣ということです。)
天明のシリーズは、ほとんどが出荷限定酒で、すべて「無濾過(炭素濾過なし)」でのリリースとなります。
明美さんは、「お米の生命力、麹、酵母の生命力を信じ、その声に耳を傾ける」をモットーに、あまり余計な手を加えず「天明」は出荷されます。
そのため明美さんは杜氏と呼ばれることに抵抗があるそうです。
季節の変化があるように、天明にも四季の味の変化があり、皆さまに一年を通して楽しんでいただきたいという思いを込め、天明が誕生します。
これからますます楽しみな酒蔵です。
「天明」は、当店の取扱いの中では香りが高く味のある新しいタイプです。どうぞ末永くよろしくお願い申し上げます。
2003年6月 会津坂下の小さな酒蔵 曙酒造
posted by sakeito
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