「奈良漬作り」 繁桝醸造元 田代祐典さん

今頃の時期、福岡県八女市の清酒「繁桝」の酒蔵では、奈良漬の漬込みを行っています。

奈良漬は瓜と粕が決め手となります。
そこで当社では、接ぎ木をしない自然の白瓜を契約栽培し、朝収穫した瓜をその日の内に瓜を縦割りし、中の種を取り出します。
この種出しが奈良漬の出来の良し悪しにとって重要な作業となります。

種を取り出す際、瓜の身も一緒に削り取るのですが、身の削り方が少ないと酸味が出やすく、削り過ぎると肉厚が薄くなり見栄えがせず、食感も悪くなります。

その後、種出しをした後の穴に塩を入れ、桶に漬け込み、総重量の三割程度の重しをし、二昼夜置きます。
次に塩と重しの作用で水分が外に出た瓜を桶より取り出し、笊に入れ、二時間程度水切りをした後、布巾で瓜を綺麗に拭きあげます。

そして最後に、生瓜10kgに対し酒粕10kg位の割合で、再び桶に漬け込みます。

漬け込んで1ヶ月位でおいしい奈良漬のできあがりです。

この奈良漬用の酒粕で面白いのは、大吟醸・吟醸の酒粕よりも普通酒の粕で漬けた方がおいしいことです。


高精米のお酒は、あまり絞らないので、酒粕に酒精分が残りすぎるため、瓜の歯切れが悪くなり、あのカリカリとした食感がなくなってしまいます。

以上に留意され、おいしい奈良漬作りに挑戦されてはいかがでしょうか?

2000年9月
繁桝醸造元 田代祐典
posted by sakeito | 蔵人からの風便り