シャンパンとスパークリングワイン

今回は、シャンパン(発泡性ワイン)とスパークリングワイン(英語圏)について書きたいと思います。

本来、ラベルに「シャンパン(Champagne)」と表示できるのは、フランスのシャンパーニュ地方(パリの南東に位置する北緯49度、ぶどう栽培適地ぎりぎり)で、ぶどう品種、栽培、醸造などの生産条件を定めたA.O.C法に基いて造られた発泡性ワインだけです。

ちなみに、普通の非発泡性ワインはスティルワインと言います。

シャンパーニュ以外の発泡性ワインの呼び名は下記の通りです。

【フランス】
5〜6気圧   ヴァン・ムスー
3.5気圧前後  クレマン 
約2気圧    ペティアン
【ドイツ】  シャウムヴァインゼクト
【イタリア】 スプマンテ
【スペイン】 エスプモーソ

次に、甘辛の表示がラベルに書かれていますので、その表語を書いておきます。

発泡性のワインは、酵母が糖分を完全に分解し、糖分がなくなっているため「門出のリキュール」(シャンパンの原酒になったワインに糖分を加えたもの)を加え、甘辛の調整をします。

この工程をDosage(ドサージュ)といいます。添加度合により表示が変わります。

【フランス】
0〜6 g/l Extra Brut
6〜15 g/l Brut
12〜20 g/l Extra Dry,Extra Sec
17〜35 g/l Sec
33〜50 g/l Demi Sec
50 g/l以上 Doux
【ドイツ】
0〜6 g/l Extra Brut
6〜15 g/l Brut
12〜20 g/l Extra Trocken
17〜35 g/l Trocken
33〜50 g/l Halbtrocken
50 g/l以上 Mild
【イタリア】
0〜6 g/l Extra Brut,Brut
6〜15 g/l Extra Brut,Brut
12〜20 g/l Extra Dry
17〜35 g/l Seco
33〜50 g/l Semi Sec
50 g/l以上 Dolce
【スペイン】
0〜6 g/l Extra Brut
6〜15 g/l Brut
12〜20 g/l Extra Dry
17〜35 g/l Dry
33〜50 g/l Semi Dry
50 g/l以上 Sweet


製法について
1.トラディショナル方式
(Methode Traditionnelle=Methode Champenoise=シャンパン方式)
スティルワインを瓶に詰め、糖分・酵母を加え、密閉して瓶内で二次醗酵させる方式。手間と時間がかかるが、きめ細かい泡立ち、味わいの深さ、炭酸ガスが抜けにくいなど、非常によい出来になります。ドイツでFlaschengarung、イタリアでMetodo Classico、スペインでCavaと表示してあるものもこの方式を表しています。

2.シャルマ方式(Methode Charmat)
大きなタンクで二次醗酵させる方式。密閉タンク方式(Methode CuveClose)ともいいます。ぶどうのアロマ(香り)を残したい場合や、一度に大量に造れるので、コストを抑えたい場合に広く用いられます。シャルマは発案者の名前です。

3.トランスファー方式(Transfer Methodo)
一度、二次醗酵を瓶内でさせ、炭酸ガス含有のワインを加圧したタンクに開け一度に冷却、おり引きしてボトル詰めする新しい方式。トラディショナル方式で一番手間のかかるルミアージュ(動瓶)とデゴルジュマン(おり引き)を簡略化したもの。

4.メトード・リュラル(Methode Rurale)
醗酵途上のワインを瓶に詰め、密閉して残りの醗酵を瓶内で行う方式。

5.炭酸ガス注入方式
炭酸飲料と同様にスティルワインに炭酸ガスを注入する方式

参考にしてみてください。


ラベルの表示でblance de blance(ブラン ド ブラン)とあるのは白ぶどうのみで造った白ワインのことです。

スパークリングワイン(特にシャンパン)は、スティルワインよりも手間ひまがかかっていること、世界的にシャンパンがワインの王様と呼ばれている背景を知っていただきたいと思いました。


posted by sakeito | 洋(せいよう)