2002年3月 福井 越前岬訪問

3月上旬、車中2泊の夜行バスにて強行軍で行ってきました。
2月24日の「こしき倒し」(蒸米の作業を終えること)までに間に合いませんでした。

早朝、福井の地におり立ち、周りを見渡せば全く雪がありません。田辺邦明社長にお伺いすると、例年はこの季節まだまだ雪だらけとのこと。やはり今年の早春は暖かい。

朝食をいただきながら早速酒談義。後に蔵内を案内していただきました。
「こしき倒し」も終わっていたので、麹造り、酒母造りは終わっていましたが、「もろみ」が静かに、そして元気よく育っていました。
仕込んでから10日目と12日目の本醸造の「もろみ」を試飲しましたが、しっかりとした造りを感じさせる味わいでした。

搾りが始まり、ちょうど1.8lの1,650円で販売している本醸造、精米歩合65%の「雪寒造り」、なんとこのクラスのお酒も大変手間のかかる槽(ふね)で搾られています。

そうなんです。
この越前岬のお酒は、全てのお酒が槽搾りで、「やぶた式」と呼ばれる連続搾り機は全く使っていません。蒸しは「こしき」、麹も「麹蓋」、搾りも「槽」というように全くの手造りです。

450石ほどの蔵だから出来ることと思います。
槽口から出てきたお酒は、きりりとしまりのある、そして、どこかやさしい味わいでした。

この後、鷹木杜氏も交えていろいろ意見を交換しました。
田辺邦明社長曰く、「うちは500石以上は造らない」と。
それ以上になると目が届かなくなるからとのことでした。

これからますます楽しみな酒蔵です。
特別に当店オリジナルで5月頃に純米の無ろ過の生酒を出していただくことになりました。