ワインと酸

11月に入ると毎年話題になるのが、ボージョレ・ヌーヴォー。

そう、フランスのブルゴーニュ地方の下の方に位置するボージョレ地区でガメイ種(ブドウ品種)から醸造される新酒のワインの事です。

毎年出来が云々かんぬんと言っていますが、入荷する前のマスコミなどから流れてくるプレス・リリースなんかは、ほとんど当てにならないですよね。

毎年、「あまり良くない出来です」なんていう話は聞いた事がなく、大体が「今年はここ10年で一番良い出来です」とか「ここ50年で一番良い出来です」とかのコメントが賑わっています。一番傑作だったのは2003年の「ここ100年で最も良い出来です」になるでしょうか。
あくまで私個人の見解ですが、このような表現をされたワインは、とても長命なワインだと思ってしまいます。が実際に飲んだ印象は、酸がだらしなく、これではとても長い時間は耐えられないなというものでした。確かに新酒で飲めば果実感タップリでボリュームもあったのでその点では、そうなのかもしれません。

今年あたりから2003ヴィンテージのワインが市場にだいぶ出てきていますが、もし長期に寝かせたいと思っているならばより慎重にするべき(よくワイナリーを選択すべき)と思います。昨年から今年の試飲会へ行ってその印象をよりいっそう深めました。

ワインにとって非常に重要な要素の一つが「酸」なのですが、ヨーロッパの2003年の夏は、暑すぎたため葡萄の糖分はタップリありましたが、酸がダメでした。酸がダメだと長期間熟成させたときに良い状態になってゆかないと思います。こんな年は、ワイナリーの格差が出やすいように思いますし、南より北の地方のワインがより厳しいと思います。

御存知の方には失礼かもしれませんが、最後に、ボージョレ・ヌーヴォーの出来がその年のフランスのすべてのワインの出来を決めるわけでは決してないということを書いておきたいと思います。
posted by sakeito | 洋(せいよう)