頭の片隅に置いて頂きたい事ですが、酒類を大分類すると日本酒は、ワインやビールと同じ醸造酒のカテゴリーに入ります。もちろん原料が違うし、細かく見ていけば同じではないですが、日本酒とワインは、特性が非常に似ている部分があります。
「熟成」は「酸化」と非常に密接な関係があります。酸化というと非常にイメージが悪いですが、酸化がなければより美味しく熟成しないと断言できるほど密接な関係があると思います。実際の味わいからそう思います。
ここで表題にある瓶内熟成についてですが、日本酒は、瓶に詰められてからも熟成します。
醸造過程で日本酒には、酸素が含まれます。瓶に詰められた段階でこの酸素も一緒に瓶の中に入ります。この微量な酸素が、酸化作用をひき起こし、瓶内のお酒を変化させていきます。
実際に瓶詰め時に脱酸素を施した日本酒やワインは、品質の劣化は少なく抑えられるかもしれませんが、その日本酒やワインの個性にあったきちんとした保管をしてもその時点よりもより進化して美味しくなるという事がないように思います。今までそのような品を飲んでそう思っています。
一方、そのまま瓶詰めされた日本酒やワインは、保管の仕方次第では、より素晴らしい品になる事が可能です。
そのお酒の持つポテンシャルが、100%までになるには、お酒ごとの違いがあります。人間と同じように早熟型のもあれば、大器晩成型のもあります。
日本酒もワインと同じように優れた品質の品ほどポテンシャル100%になるまでに時間を要します。もちろん日本酒とワインでは、違いがありますので要する時間も違いがあると思いますが。
酒蔵では、トップクラスの大吟醸は、斗瓶といわれる1升瓶が10本入るガラス瓶や1升瓶に詰めた状態できちんと温度管理のされた所で静かに時が来るのを待ちます。その間にゆっくりと味の変化があり、搾りたてのときは出ていなかった吟醸香や旨みが出てきます。
小さな容器で保管する事で、大きな容器で保管するよりもよりこまめに品質管理ができます。瓶詰めされたお酒が、酒販店に入荷してからも全く同じで瓶の中でゆっくりと熟成します。経験上、保管温度が10℃位違うと倍くらいのスピードで熟成するように感じます。
これらの事から判るように日本酒は、瓶詰めされてからも熟成はします。さらに日本酒は、人間と同じように同じお酒は存在しないといえると思います。
日本酒の熟成について
posted by sakeito
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